#スターシップ・トゥルーパーズ

どうかしてる監督に、大金を湯水のように使うことを許し、好き勝手させたら一体どうなるのかという壮大な実験。欧州の破壊王ポール・バーホーベンの歪んだ精神性が大爆発した傑作。しかし当然のごとくレーティングに引っかかってしまい、興行的には大爆死。そんなことは端から解っていることなのに、これは頼んだほうが悪い。創作料理で有名な板さんに牛丼作ってくれと注文しておいて、出てきた料理に吉野家と違うと文句をつけているようなもの。そもそもこの監督は、第二次世界大戦時のオランダ・ハーグでの連合軍の大爆撃を経験しており、街じゅうに飛び散った死体を横目に見ながら生き延びた人である。味方であるはずの連合軍による大殺戮をその目で見て、理不尽で無慈悲なのがこの世界の現実であり、正義などどこにもないと悟ってしまったらしい。劇中でもバグに切り刻まれた歩兵部隊のバラバラ死体が累々と重なり合う情景があるのだが、それを嬉々として演出していたというが、不幸な生い立ちを差し引いたとしても、かなりイッちゃってる人である。地球連邦軍の制服が明らかにナチスドイツのそれであり、軍隊への入隊を誘うCMがブリッジのように挿入されることもあり、公開当時アメリカで、この映画はナチスドイツや戦争そのものまでをも賛美していると非難していたバカが大勢いたそうだ。アメリカは偉大な国であることは確かなのだが、バカが大勢いる国でもあるのだなあ。我々日本のいいところでもあるのが、この作品と「プライベートライアン」を同じカテゴリーで語り合っていたことだ。リテラシーは高いのだよ、我々日本人は。救いようのないアホもいるにはいるのだが…。アメリカで何言われようとも、我々日本人は応援してるからね。何処までもついていきますぜ、バーホーベンの旦那!(原作に触れるのをすっかり忘れてしまった。いずれまたの機会に!)

ザルで水汲むマニア心

映画やゲームについて好きなことを呟いていきたいと思います。一部ネタバレを含む場合があります。

2コメント

  • 1000 / 1000

  • よこちん422

    2019.01.07 16:53

    @鴻田 昌明そう、なんも考えないで見るとバカ映画として面白いし、よくよく見ると強烈な反戦映画なのよ。ナチスドイツを完全におちょくってる!
  • 鴻田 昌明

    2019.01.07 10:48

    「スターシップ・トゥルーパーズ」監督の生い立ちなんか伺うと面白そうな作品ですね。