#ドラキュリアン

どうでもいいがすごい邦題だ。原題は「The Monster Squad」 さしずめ妖怪討伐隊か。闇の力からこの世を護る聖なるアミュレットをめぐる物語。このアミュレットは100年に一度、その力が急速に弱まり無防備になる。その間心正しき者はこれを保護し、力が失われる瞬間、汚れなき乙女が呪文を詠唱することによって再びその輝きを取り戻す。ちょうどその節目となる現代のはなたれ小僧達が、偶然手に入れたヴァン・ヘルシング教授の日記からその危機を知り、モンスター軍団率いるドラキュラ伯爵と対決する。とにかくキャラが立っている。リーダー、お調子者、デブ、ヘタレ、不良と、メンバーの個性がはっきりしていて楽しい。脇役も素晴らしい。日記はドイツ語で書かれていて読めないのだが、近所に引っ越してきた老人がドイツ人で、今まで怖くて近寄れなかったのだが仕方なく会いに行くのである。この老人のアダ名が‶恐怖のドイツ人”。笑った。フランケンシュタインの怪物だけは実はイイやつで、リーダーの妹と仲良くなってしまう。このあたりの演出は笑わせながらも、フランケンの異形の者としての悲しみもさりげなく描写してほろりとさせてくれる。この監督、うまいなあと思った。呪文を詠唱する処女をどうするか問題になり、お調子者が自分の姉ちゃんに頼むのだが、ドラキュラ伯爵が迫ってくる緊迫した場面で、実は経験済みを告白され、どっかに処女はいないかー?となった瞬間、横にいるリーダーの3歳くらいの妹を見て「いたーっ!」となったのには腹を抱えて笑った。全編通して思ったのは、意外に脚本が骨太であったこと。リーダーの両親が不仲で、警察官の父親の、そういうことに気が付いていても明るく振る舞う息子に対する微妙な申し訳なさなどが丁寧に描かれる。そして事件解決とともに家族の絆を取り戻すのである。笑わせて、ハラハラさせて、ほろりとさせてくれる、決して派手ではないがいつ食べても安心の、松屋の豚バラしょうが焼き定食のような、そんな映画である。

ザルで水汲むマニア心

映画やゲームについて好きなことを呟いていきたいと思います。一部ネタバレを含む場合があります。

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