#デモンズ

イタリア映画界の職人監督マリオ・バーバの不詳の息子、ランベルト・バーバが、己の才能の無さを全世界に知らしめてしまった記念碑的作品。素人が見てもそれはないだろうという演出やカメラのショットが頻発し、目頭が熱くなる。閉ざされた映画館を舞台に迷宮の中を逃げ惑う犠牲者達…みたいな触れ込みだったのだが、そんな設定も生かされるはずもなく、ただただ、だだっ広い館内をうろうろするだけ。ダリオ・アルジェントがバックに控えていながら、どうしてこうなった。唯一評価できるのは、潤沢な資金をこれでもかとつぎ込んだアナログ特殊効果。ゾンビではなく、あくまでも悪魔というクリーチャー達を見事に再現している。人間が悪魔に変化していく過程も気持ち悪くて素晴らしい。デビルマンの実写化もこんな風にやってほしかった。仮面を被った謎の男が登場するのだが、これはなんとミケーレ・ソアビ!この人はとてつもない才能の持ち主であるのだが、家庭の事情で一時期映画界から離れてしまった。ダリオの後を継ぐのはこの人しかいないと思っていたので、がっかりした覚えがる。いつかこのブログで紹介したいと思う。話をもどすと、ラストは私の大好きな展開で、映画館を脱出した後の外の世界の唐突な変化、唐突な一家の登場と唐突なその一家の設定。そしてエンドロール後の唐突な結末。ボンクラな子供時代を過ごした私には、シビレにシビレた展開であった。最後になるが、オープニングシーンでヒロインが賑った街角から駅の構内へとひとり入っていくと、いつの間にか人気がなくなり、背後から何者かの足音が聞こえる…。このシーンの演出が素晴らしい!とてもランベルト・バーバに撮れたとは思えない。このシーンだけダリオが撮ったんじゃないかと私は睨んでいるのだが、どうだろうか?

ザルで水汲むマニア心

映画やゲームについて好きなことを呟いていきたいと思います。一部ネタバレを含む場合があります。

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