H・P・ラヴクラフトの「チャールズ・ウォードの奇怪な事件」を映像化。ラヴクラフト大好きダン・オバノンが、おそらくは子供の頃からのたまりに溜まった思いのたけを一気に吐き出したであろう傑作。ラヴクラフト原作という映画で良かったためしがない中で、これは頂点に位置するものであると言っていい。原作の20世紀初頭の設定を現代に移し替え、依頼人の人妻と探偵とのほのかな恋愛を絡めながら、人間には抗うことのできない絶対的な恐怖感が見事に表現されている。人妻と探偵が結ばれるシーンがカットされているが、これは正解。ラストで人妻の妊娠が発覚するが、旦那の子供であったほうが因果はめぐることを予感させ、余韻の残るラストになっている。好きな映画を一本だけ選べと言われたら、これを選ぶかもしれない。それほど好きな映画。ダン・オバノン、性格悪いらしいけど腕は確か!
0コメント