#ゾンゲリア

ひどい邦題である。おそらくゾンビと当時話題になっていた「サンゲリア」を合体させたのであろう。サイゼリアではないと思う。当たり前か。原題は「Dead & Buried」。死して埋葬されたる者、という感じか。脚本がご存知ダン・オバノンなので、のっけからラブクラフト臭がプンプンする。根っから好きなのねー、この人。寂れた漁師町を訪れたカメラマンらしき男が、寒々とした景色を撮影していると、突然美女(リサ・ブロント)がファインダーの中へ入って来てポーズを決め始める。そして服を脱ぎだし上半身裸になりニッコリとほほ笑むのだ。一瞬ひるんだ男であったが、すぐに好色な笑みを浮かべ写真を撮り続ける。突然背後から頭を殴られ気絶する男。気が付くと、浜辺の杭に逆さまに縛り付けられていて、その周りをさっきの美女を含めた大勢の人々が見つめている。ガソリンをかけられ火を付けられる。男の顔がアップになり絶叫が響き渡ると同時に、カットが変わる。つかみはオッケー!ホラー映画としては申し分のないオープニングシーン。見ている者は一気に引き込まれ、先の展開が気になって仕方がない。殺害シーンはグロイのだが、物語自体は静かに淡々と進む。単なるゾンビホラーを期待していた観客は肩透かしをくらうだろう。この町に車で立ち寄った家族が殺害されたであろうことが暗示されるのだが、カットが変わると殺害されたであろう子供はうつろな目で地元の小学校の教室で授業をうけている。一体何が起こっているのか、観客の頭の中に?がいっぱいになるだろう。主人公の保安官が町の異変を調査していくのだが、どうも住人達が人が変わったようになり非協力的で、どんどん孤立していってしまう。愛する妻でさえ様子がおかしい。苦労の末、町の葬儀屋が怪しいと気づくのだが、驚愕の事実が判明する。理不尽で意味の全く分からない真相、こういうのが私は大好きだ。意味が解らない恐怖こそ本当の恐怖だ。この映画の最大の見どころは、オープニングで焼かれた男は命だけは取り止めるのだが、全身包帯でグルグル巻きにされ身動きが取れない。そこへナース姿のリサ・ブロントが現れ(写真下)成すすべのない男の眼球に注射針をぷしゅ~、ギャー!!残酷なのに美しい、ホラー映画史上に残る名場面!


ザルで水汲むマニア心

映画やゲームについて好きなことを呟いていきたいと思います。一部ネタバレを含む場合があります。

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